御曾曾けいのログ

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一途な未亡人と、一途な男の壮大な恋愛物語『めぞん一刻』

今回紹介するのは、未亡人と1人の男との長期間にわたる恋愛を描いた『めぞん一刻』です。

 

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今なお語られる不朽の名作―高橋留美子めぞん一刻

めぞん一刻』は、オンボロアパート・一刻館が舞台です。個性豊かな住民たちの悲喜こもごもとともに、住人の五代裕作と未亡人の管理人・音無響子が織りなすラブストーリーを描いています。

うる星やつら』や『らんま1/2』など、数々の人気漫画を手がけ、2024年3月には『高橋留美子原画集 COLORS 1978-2024』を発売した高橋留美子の代表作のひとつ。

笑いあり、涙ありのラブコメディです。

 

 

優しい主人公・五代裕作

大学浪人中の主人公・五代裕作は、優しい性格が災いして面倒事に巻き込まれやすい貧乏気質。一刻館の新しい管理人としてやってきた音無響子に一目ぼれし、未亡人と分かりながらも猛アタックしていきます。

一途とだと感心するところもありますが、ひたすら響子にアプローチする姿は諦めが悪いとも言えます。さらに、『押しの一手』が弱いため、告白に失敗をする頼りないキャラクターです。

 

恋愛に不器用な反面、人柄は大変良く、大学のサークルやアルバイト先の人間からは常に人気者となります。

アルバイト先のシングルマザーが子どもだけ残して失踪した時は、お人好しな性格から、彼が面倒を見ることになってしまいます。頼りない面を持ちつつ、彼のこういった優しさにヒロイン・響子は惹かれていきます。

音無響子というヒロイン

本作のヒロイン・音無響子は気立ての良い美人で、老若男女問わず誰からも好かれる人物です。漫画のヒロインにありがちな人物像ですが、特徴的なのは、亡くなった夫を忘れられずにいる『未亡人』であることです。

未亡人

主人公の五代の恋は、響子を狙うライバルたちの邪魔や、様々なトラブルでうまく行きません。しかし、根本の問題は響子が亡くなった夫・惣一郎に“操”を立てている点です。

恋愛漫画にありがちな、両想いのはずなのに、中々恋人にならないストーリー展開は、読む人によってはイライラしてしまうかもしれません。

 

しかし、好きな人を亡くした悲しみと、その悲しみがありながら五代に惹かれていく気持ちのせめぎ合いこそが、本作の大きな鍵とも言えます。最後まで読むことでその鍵が、大きなエンディングへの扉を開けるのです。

問題児ばかりのサブキャラクター

一刻館のトラブルメーカーである住人たちは、ストーリーを動かす大事なキーパーソーンです。

 

響子を実の娘のように可愛がるも、面白ければ事態を引っ掻き回す一の瀬花枝。
姉御肌で、五代や響子を後押しする時もあるが、大半はからかって終わる六本木朱美。
五代と響子を応援するどころか余計なことをして面倒事を増やす四谷。

住人全員が大酒飲みで、毎日のように宴会をしては、五代や響子を巻き込んで迷惑をかけまくります。

 

そして、五代と響子の恋の障害となるキャラクターもまた癖があります。

イケメン・金持ち・性格良しで完全無欠、響子に強引に迫るも、五代と同じくここぞという時にうまくいかない三鷹瞬。
五代を落とすために下着姿になって迫る大胆さを持つ女子高生・八神いぶき。

己の思うままに行動する登場人物ばかりで、その破天荒さが笑いを生みます。

長い時間をかけて解けていく気持ち

大事な人を、突然の事故で奪われる響子の心中は計り知れません。

五代のライバルの1人である三鷹は、過去を忘れて未来を向こうというスタンスです。しかし、五代は響子の過去ごと受け入れ、向き合おうとします。

めぞん一刻

今は亡き相手が最大のライバル。この障壁が、本作で描かれる一番の持ち味とも言えるかもしれません。

未亡人というハードルを乗り越える五代の奮闘と、響子の恋に対する気持ちの移り変わり。最後の最後まで、2人の感情の揺れ動きに、読む手が止まらない名作です。

 

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『高橋留美子原画集 COLORS 1978-2024』

 

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